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クールで大人びた雰囲気。
真堂さくらは、どこか近づきにくい印象を持たれることが多かった。
でもそれは、生まれつきの性格なんかじゃなかった。
彼女が、そうならざるを得なかった“理由”があった。

子どものころのさくらは、誰よりも明るく、誰よりも人気者だった。
笑うことが大好きで、友達の輪の中心にいつもいた。

でも、中学生の時を境にすべてが変わった。

さくらの人気を妬んだ一人の友達が、嘘の噂を広めたのだ。
「さくらって、裏でみんなの悪口言ってるらしいよ」
ただの噂が、教室中に広がるのは一瞬だった。
信じていた友達に無視され、距離を置かれ、さくらは突然ひとりになった。

「どうして、何もしてないのに……?」

あのときの悔しさ、悲しさ、そして裏切られた痛み。
その日から、さくらは自分の心に鍵をかけた。

その後、芸能の世界に入り、モデルや女優として活動するようになったさくら。
見た目は華やかでも、心の中にはずっと寂しさが残っていた。
仲間と本音で笑い合うこともないまま、孤独だけが増えていった。

そんなとき、ふと目にした“アイドルグループメンバー募集”の記事。
ページを閉じようとして、でも、なぜか心が引っかかった。

「もう一度だけ、人を信じてみたい」
そう思えたのは、自分でも不思議だった。

さくらは、アイドルグループ“Stella⭐︎Luxe”のオーディションに合格し、活動が始まった。
でも、さくらはやっぱり周りと馴染めなかった。
壁を作ってしまう癖が、抜けなかった。

そんなさくらに、毎日のように”ちょっかい”を出してきた存在があった。
それは、星野つばさ。

「カンチョー!!」
「くちゅくちゅ〜!!」

子供染みたいたずらを仕掛けるつばさ。
つばさの方が1つ年下であるが、全く物怖じすることはなかった。

……さくらには意味がわからなかった。

「バッカじゃないの?」

冷たく言っても、つばさは全然めげない。
むしろ毎回、どこか嬉しそうにしていた。

それが、だんだんと不思議な感情を呼び起こしていく。

ある日も、いつものようにつばさが叫んだ。

「さっくら〜!変顔バトル三本勝負!つばさ先攻ッ!」

「は? なにそれ、くだら――ぷっ……!」
つばさの渾身すぎる変顔に、さくらは思わず吹き出してしまった。

その瞬間、張り詰めていたものが、プツンと音を立てて切れた

「……笑っちゃった、私……」


こらえていた涙が止まらなくなった。

「わたし、昔……信じてた友達に裏切られたの」
「嘘の噂を流されて、全部、なくなった……」
「だから、人と向き合うのが、ずっと怖くて……」

震える声で、ついに本当の気持ちを話した。

つばさは、黙ってさくらをぎゅっと抱きしめた。

「さくら、ほんとの気持ち、話してくれて、めちゃくちゃ嬉しい」

その言葉に、また涙がこぼれた。

つばさは、さくらの傷ついた過去を引きずっていることを感じ取っていた。
優秀な姉と比べられ、『お前には才能がない』と言われ続けてきたつばさ。
傷つきながら生きてきたつばさだからこそ、さくらの心の闇を感じていた。
子供の頃の無邪気なさくらに戻れるように、わざと子供染みた行為を繰り返していた。

さくらは、やっと、自分が自分でいられる場所に出会えた気がした。

冷たい殻を破ってくれた、あの“バカみたいな笑顔”。
あれが、さくらの“はじまり”だった。

今、彼女は少しずつ笑うようになった。
仲間の声に、素直に笑い返せるようになった。

「Stella⭐︎Luxe」
それは、さくらがもう一度、“誰かとつながること”を信じた場所。
ステージの上では、心から、輝いている。

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この記事を書いた人

【イラスト×AI×ブログによるワクワクコンテンツ提供】|ITメーカーSE歴28年|副業3年目|実績:ブログ複数運営、Twitterアフィリエイト月収益5桁|電子書籍4冊出版 、ココナラコンテンツ販売|『アフィリ王に俺はなる!』をTwitter連載中

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